無痛分娩について

当院で行っている無痛分娩は硬膜外麻酔で行います。硬膜外麻酔では、主として痛みを和らげます。そのため、無痛分娩をしても、ある程度触っている感覚や赤ちゃんが産道を下がってくる時の圧迫感は残ります。したがって、手術の時のような完全な感覚麻痺の状態とは異なります。

 

メリット

硬膜外麻酔とは、背骨のなかにある硬膜外腔という部位に麻酔薬を注入して、無痛を獲得する方法です。通常、細い管の先端を硬膜外腔に留置しこの管を通して麻酔薬を注入することにより比較的長時間にわたって無痛効果を得られます。理想的な無痛分娩は通常のお産に比べて胎児への負担が少なくなります。

 

1)陣痛・分娩への過剰な不安や強い痛みは、産婦様の血管を収縮させ、子宮や胎盤に流れる血液量を低下させるので、胎児に供給される酸素量を減少させる可能性があります。無痛分娩ではこの悪影響を解除できるので、難産などで母児ともに衰弱した場合などでは、産婦様を疲労・苦痛から解放するばかりでなく胎児の負担も軽減します。

 

2)骨盤の筋肉や膣の出口が柔軟になり胎児への抵抗が少なくなり胎児への負担が軽減します。このため産道が硬くて難産となっている方では、うまくすれば分娩が可能になります。また、痛みが少ないために血圧の上昇が少なくてすみます。これによって妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や呼吸循環器系合併症がある妊婦様でも経膣分娩が可能となる場合があります。さらに分娩時の異常な高血圧によるアクシデントを予防することもできます。

 

 

デメリット

無痛分娩は、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカやヨーロッパ特にフランスでは盛んに行われている方法です。

麻酔薬を使用するため、副作用が全く無いわけではありません。その多くは手術の麻酔と同じ副作用で、頭痛、血圧の低下などです。また、麻酔薬の影響で筋肉が弛緩するため、いきみがかかりにくくなる場合があり、吸引分娩や鉗子分娩となる場合があります。

 

副作用:血圧低下、嘔気、かゆみ、発熱 

合併症:偶発的こ硬膜穿刺による頭痛、背部痛、神経学的合併症

 

 

当クリニックでの無痛分娩の実際

 

陣痛開始後、目安としては、子宮口が3~4cm開いたら、背中から針を刺して細いチューブを固定し、麻酔薬を入れていきます。局所麻酔なので、胎児に麻酔はかからず、母体の意識もはっきりしています。

麻酔薬を注入してから、鎮痛効果を得られるまでに30分~40分程度時間がかかります

そのため、無痛分娩は麻酔注入を適切な時期行うことが重要です。無痛分娩を希望される方は、バースプランにその旨を記入し前もって同意書を提出してください。

 

その他

急遽無痛分娩に切り替える方は、無痛分娩についての医師からの説明と同意書へのサインなど処置開始までに時間がかかりますので、麻酔の効果が十分に得られる前に分娩に至ることが考えられます。予めご了承ください。